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みんな地球の固有種

 昨日までの雨は漸く峠を越えたようです。昨夜は避難を勧告する緊急メールで何度か起こされ、いささか頭がぼーっとしています。常総市で眠れぬ一夜を過ごされた方々の疲労はいかばかりでしょうか。
 それにつけてもよく降りました。「線状降水帯」と言うそうですが、南北に帯状の広がりを持つ雨雲のレーダー画像は不気味でした。自然は時に我々の想像を超えた現象をもたらすのですね。何でも出来ると勘違いしている人類ですが、やはり自然の力は強大で、時々このような天災に見舞われることも人間が天狗にならないようにするためには大切なことなのかもしれません。

 今日はあの大震災から4年と半年の日です。日進月歩の科学技術に信頼を置き、何でも出来ると勘違いした我々人類に対して、先の大地震も今回の大雨も、ある種の警鐘を鳴らしているのかもと思った次第です。


 今回は特定外来生物というものに関して考えてみました。

 そろそろそのシーズンも終わりだが、春から夏にかけて空き地や道路の路肩などに鮮やかな黄色い花の群落をよく見かける。その名をオオキンケイギクといい、文字通りキク科の北米原産外来種である。日本には明治時代に観賞用として輸入され、人気を博したようだ。その後その繁殖力の強さから高速道路路肩や工業団地周辺の緑化に重用され、日本全国に広まった。ところがこのオオキンケイギクは、その後あまりにも繁殖しすぎて日本固有の在来種を駆逐する勢いとなり、近年特定外来生物としてその栽培、販売、輸入が禁止された。しかしそのことはあまり知られておらず、満開の時期はとても綺麗なので、ぼくに限らず多くの人達が今でも愛でている。実際先日もいつも歩く散歩コースの道端で大々的な草刈が行われたのだが、花を咲かせているオオキンケイギクだけは刈られずに残されている場面に出くわした。他はみな「雑草」との位置づけらしい。
 ミドリガメが全国の河川や湖沼で増えすぎて、日本古来のカメの生態を圧迫しているから、これを駆除する事業のために4500万円の予算が計上されたとのニュースを先日テレビで見て呆れた。通称ミドリガメと呼ばれるこの外来種も米国産で、正式名称をミシシッピアカミミガメという。日本ではその幼生が縁日のお祭りなどで販売されていることが多く、子供に懇願され簡単な気持ちで飼育を始めたが、そのうち思いのほか大きく育って手に余るようになり、近所の河川に遺棄されたものが自然繁殖した結果個体数が増えたというわけだ。余談だがこのミドリガメ、食用になるらしい。美味しいかどうかは良く知らぬが、料理のレシピは検索するとヒットする。食料自給率低迷に悩む日本において将来の貴重な蛋白源となるかどうか。サルモネラ菌を保有することが多いというから、食べてみようと思われる向きは、加熱をしっかりした方が賢明だ。
 外来動植物を安易に日本へ連れ込んだ後、その増えすぎに困るという同じような話は枚挙に暇が無く、有名な例をもう一つだけ挙げれば、スポーツフィッシングの対象として人気の高いブラックバスだろうか。あるいは巨大な蛇や爬虫類が下水道で見つかったなどのニュースは結構な頻度で目にする。いずれの場合も誰かが商魂たくましく勝手に日本へ連れてきて一儲けし、いざその外来動植物種が日本の環境に適合して大いに繁殖すれば、今度は固有の在来種への影響を危惧して駆除しようとする、実に勝手というか傲慢な態度だとおもう。
 ある種の生物が増えすぎたから駆除するとのニュースに接して、いつも疑問というか憤懣やるかたなく思っていることが幾つかあるので紹介してみたい。第一点。既に日本全国に広まって定着している外来種を、いかなる手段をもってすれば完全駆除、根絶させうるのか。もちろん人海戦術で手当たり次第刈り取ったり、網で絡め捕ったりするつもりではないだろう。まさか除草剤や農薬でも撒くつもりではないよね。あるいは遺伝子操作でも行って不稔化を図るおつもりか。いずれにせよ莫大な費用がかかることが容易に想定され、駆除作戦そのものの有効性への疑問もさることながら、その費用対効果の見積もりは一体全体どのようになっているのかぜひご教示いただきたい。第二点。この交通が極度に発展した現代社会において、外来種の国内への侵入を完全に阻止することはどう考えても不可能であり、今後も外来種の国内での繁殖は十分に起こりうることだと思うのだが、そのつど駆除を検討されるおつもりか。第三点。固有種が大切とのことだが、その固有種とて何千年あるいはもっと昔に遥か大陸の彼方から日本列島へ移り住んできたものかも知れず、生態系というものは地域に硬直したものではなく、長い時間をかけて少しずつ、時に劇的に変動してきたものではないのか。数千年前に移住してきた生物種は固有種として珍重し、数百年前にやってきた種はよそ者あるいは新参者として排除するということでよろしいのか。そして最後に第四点。全地球レベルで考えれば、全ての生物種が地球における固有種であり、ここ数千年の歴史の中で異常な勢いで増え、他種を圧倒して少なからずの種を絶滅に追い込んだ種は他ならぬ我々ヒトであり、もしこの地球に駆除されるべき種などというものが本当にあるのだとすれば、それは他でもないヒトという結論にはならないのか。
 ぼくは昔から一つの空想を抱いている。「地球」には元来自浄能力とでも言うべきものが備わっており、一つの生物種があまりにも繁栄して他種を圧迫する事態に陥った際には、「地球」があらゆる手段を尽くしてその種を減らす方向を目指すのではないかとの想いである。大地震、大津波、頻発する異常気象から火山噴火まで、「地球」が増え過ぎて傲慢になったヒトを少しでも減らすべくして起こしていることだとしたらどうだろうか。荒唐無稽と一笑に付されるかもしれないが、人知が及ばない不思議なことは今も昔も、そしてこれからもきっとあるとおもう。そう考えると絶滅危惧種を保護したり、増えすぎた種を駆除しようとするヒトの行動は、やはり何でも出来るという科学万能感に囚われた傲慢なものとおもえてならないのである。