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秋の味覚

 ここ数日気持ちの良い秋晴れが続いています。日本は四季がはっきりとした国で、春夏秋冬それぞれに楽しみがあって素晴らしいですね。
 秋と言えば何と言っても食欲の秋。これから新米が出回ってきますから、おいしくてつい食べ過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。暴飲暴食は論外ですが、ご飯を少々多目に食べるくらいであれば、それほど太ることを心配する必要はありません。むしろ果物、お菓子などの甘いものを控えるように注意するべきです。良い季節ですので、散歩も忘れずに。
 このコラムもけっこう続いています。毎回読んで下さる方もいらっしゃるようで、感謝です。あまり堅苦しいエッセイばかりになっていますので、今回は秋の味覚の代表、松茸について書きました。

 松茸の季節です。松茸ごはん、お吸い物、ちょっと変わったところではオリーブオイルをたっぷりと使って炒めてパスタに絡めると幸せを感じます。今年は各地で豊作のようですが、相変わらず高嶺の花に近い食材ですね。
 松茸菌は菌根菌と呼ばれる菌類で、アカマツと共生関係を結んで生きています。シイタケやマッシュルーム、エノキダケなどは枯れた植物やおがくずを栄養にして育つことが出来るので、人工培養が簡単です。一方菌根菌は生きた宿主でないと生存できず、それ故今でも松茸の人工栽培は困難を極めているものと思われます。松茸の胞子がアカマツの根に付着すると、その根は太くたくさん分枝して菌根を形成します。松茸の菌糸は根の中に伸びて、アカマツから光合成産物である有機物をもらって成長します。一方松茸の菌糸は周囲の土壌中にも盛んに伸びて、土壌中に存在するごく微量なリンなどの無機物を吸収してアカマツに提供するという、見事な持ちつ持たれつな共生関係を結ぶのです。
 一つ疑問が湧きます。それならば色々な場所にアカマツを植林してアカマツ林をたくさん作っておけば、松茸がたくさん生えてくるのではと思うのです。ところがそう簡単には事が進まないようなのです。もともと松茸菌は成長が遅く弱いので、他の菌類との競争に晒されると簡単に負けてしまいます。だから他の菌類が育ちにくい腐葉土の少ない、貧弱な土壌を好んで繁殖するのです。昔のアカマツ林には人が入り、落ちた枝や葉を燃料用にこまめに持ち帰っていたのです。そう、柴刈ですね。その結果アカマツ林にはあまり厚い腐葉土層は形成されなかった。換言すれば、昔のアカマツ林は松茸が育つに適した低栄養環境が人為的に整えられていたということです。林業が廃れて、人の手が入らなくなったアカマツ林には分厚い腐葉土層が形成され、松茸菌には住みにくい場所となってしまったわけですね。何となく大自然の恵みのように思っていた松茸ですが、こうして考えてみると人の力が無いと大量には収穫できない立派な農産物と言えるのかもしれません。アカマツ林の手入れにかかる手間暇を考えると、国産松茸の高騰も仕方がないことだと納得します。