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一人よりも二人の方が

 今日から4月です。新年度の始りで、これから街には何となくまだ様にならないスーツ姿のフレッシュマンたちが目につくことでしょう。進学のシーズンでもありますね。若い人たちの姿は元気を与えてくれます。この人たちがいる限り、日本もまだ大丈夫だなと思えるのですが、少し気がかりなこともあります。それは若い世代の未婚率が急上昇していること。今回ご紹介する家族社会学を専門とされている山田昌弘中央大学文学部教授著、「家族難民」(朝日新聞出版)によると、現在生涯未婚率は何と25%に達するそうです。このままでいくと、将来20万人以上が孤立死する恐れがあるというのですから事態は深刻です。大変読みやすい1冊ですので、ぜひお勧めです。以下は簡単な感想文です。

 1990年代にパラサイト・シングルと呼ばれた人達は親同居未婚者、学校卒業後も親と同居することで基本的生活を親に依存しつつ、自らは正社員として働きリッチな生活を送っている若者というのが大雑把な定義だった。20年以上が経過し、今彼らを孤立化が襲う。依存していた親が退職高齢化し、自らもリストラなどの憂き目に遭って生活が立ち行かなくなるケースが目立っているという。
 パラサイト・シングルに限らず、離別、死別などにより現代の日本ではシングル化が急速に進行しており、生涯未婚率は何と25%にも達する。かつてシングルは家族内の労働力としての価値があり、仮に一生シングルでも家族に包摂されていた。しかし家内工業、農業などが廃れた現在にあっては、家族にシングルを包摂する力はもはや無い。このままでは将来孤独死、無縁死が大量に増えることを予測し、高齢化して生活に窮するシングルをまとめて「家族難民」と定義した。日本は社会保障を含めたあらゆるものが、基本的に「夫婦と子供二人」の家族構成を前提に制度設計されているために、シングルにとってはとても住みにくい国であり、早急にその対策を取らねば「家族難民」が急増するとの指摘をしっかりと受け止めたい。
 シングルという生き方を否定するのではなく、どのような政策をもってすれば人々がシングルから脱却するのか、あるいは仮に生涯シングルであったとして、どのような制度改革をすればシングルに優しい社会を作ることが可能なのかをわかりやすく説く。
 保守的な人は伝統的な家制度への帰還を訴え、一方リベラル派は「おひとり様」などシングル擁護を主張して丁々発止と遣り合うが、もはや事態は深刻で、そんな議論をしている暇はないという著者の切迫した想いが良く伝わる名著だと思う。是非一読をお勧めしたい一冊だ。