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慢性腎臓病 その1

 腎臓は腰の高さで背中に近い所に位置する、大人の握りこぶしよりも一回り大きい臓器です。左右一つずつの合計2個あります。腎臓は血液内に溜まった老廃物、摂りすぎた塩分や水分を尿として排泄する大切な役目を担っています。例えて言えば浄化槽あるいはろ過装置です。腎臓が働かなくなる状態を腎不全と呼びますが、そうなると余分な水分を体外に排泄できなくなる結果、体にむくみが出現して血圧が上昇します。老廃物が体内に溜まる結果、皮膚の痒みや食欲不振が出現します。また腎臓は血液を作り出すホルモン(造血ホルモン)を分泌しているため、腎臓が弱るとこのホルモンが不足して、貧血が生じます。更に大切なことが最近わかってきました。腎不全になると全身の血管がぼろぼろになってしまうのです。血管が硬くなって詰まってしまうことを動脈硬化と言いますが、腎不全になった患者さんの血管は動脈硬化が著しく進行していることがわかってきたのです。つまり腎臓が悪くなると、脳梗塞や心筋梗塞といった恐ろしい病気にかかる可能性が高まるということです。
 腎不全が進行してしまうと人工透析という治療が必要になります。従来腎臓が担うべき仕事を、人工腎臓という機械に肩代わりしてもらうのです。現在日本で継続的に人工透析を受けておられる患者さんは20万人以上、そして毎年3万人という驚異的なスピードで増加しています。
 腎臓を傷めてしまう原因は様々ですが、特に大切なものが糖尿病と高血圧です。糖尿病と高血圧を放置しておくと、徐々にですが確実に腎臓が弱ってきます。糖尿病は現在全世界で人工透析が必要となる患者さんの原因疾患として第一位の座を占めています。日進月歩の医学ですが、残念ながら慢性腎不全を十分には克服できていません。残念ながら毎年右肩上がりに透析患者さんが増えているのが実情です。ここまで腎不全患者さんが増えてしまう理由として最も大切なもの、それは腎臓病が無症状だということです。先に腎不全の症状を書きましたが、実はこれらの症状が出現するのは、腎臓の働きが正常の10%未満程度にまで落ちた時なのです。自覚症状が出始めた時は、もう既に手遅れであることが多いのが現実です。ですから糖尿病や高血圧を持つ患者さんは、無症状であることに安心することなく定期的に検査を受け、常に腎臓をいたわる姿勢を持つことが大切です。
 それでは腎臓をいたわるとはどういうことなのか、そして腎臓のSOSを見落とさないためにはどうすればよいのか?次回解説することにします。