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何でも医再び

 昨日の朝は穏やかで春を感じましたが、その後は冷たい北西の風が強く、冬に逆戻りしたような印象です。三寒四温。
 東日本大震災から二年が経過しました。都市部ではもう震災の痕跡を見ることはできませんが、沿岸部では復興には程遠い状態が続いています。大切な人を亡くされた方々の心がそう簡単に晴れるわけは無いのですが、春はいつか必ず来ますし、明けない夜は無いと信じています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

 前回の続編を書いてみました。

 自分の専門領域以外の疾患は極力診察しない主義の専門医が居る一方で、自分が担当する患者さんに対しては、その全てに関与したいと願う医師も居る。僕の同期であるT医師は、主治医として担当患者さんの頭のてっぺんから足先まで、全てを診たいと考える医師である。必要な検査、治療の全てを自らが計画立案実行し、その患者に対して全責任を負う。優れた才能と不断の努力があってこその素晴らしい在り方だ。実際彼はこの春からわが母校の教授職に着く。しかし彼のやり方では臨床の最前線で、大勢の患者さんを診ることはとても出来ない。数十名ないしは多くて百名ほどを担当すれば、すでに限界であろう。そのことが十分に分かっているからこそ彼は独立開業しないのだと、いつであったか僕に話してくれた。自分の思うように出来ないのであれば、手をつけない。中途半端なことはしない、責任感にあふれ、まじめで、とても潔い態度だと思う。実際僕が今おかれている現状は野戦病院さながらである。毎日80人近くの患者さんが受診され、その種々雑多な訴えに対して一人で対応しなければならない。このような状況では患者さんの抱える問題全てを的確に把握することはとても困難で、どうしても問題を絞って対処するしかない。恐らくはもっと時間をかけて丁寧な診察を行えば、新たに見出せる疾患は多々あるだろうといつも思っている。しかしそれでも僕は現状を肯定したいと思う。医師になった以上、出来るだけ多くの患者さんの相談に乗りたいし、求められたら、どんなに忙しくても取り敢えずはお付き合いしたいと願う。
 自分の専門分野以外は診ない医師、一方で患者さんの全てを診ないと満足できない医師、そのどちらかを選べと迫られたなら迷うことなく後者を取ると思うが、やはり僕は何でも医でありたい。なぜならばこの二通りの医師、どちらにせよ多くの患者さんを診ないという点においては瓜二つではないかと思われるからだ。完璧にはこなせないが、取り敢えずは大勢を相手にし、何でも相談に乗ることのできる医師をやはり目指したいと思う。