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デジタル自動車運転免許証への期待

 先日事情があって車検証の再発行を東北運輸局宮城運輸支局でお願いした。午後の開庁に合わせて出かけたのだが、既に10人余りの行列が出来ており、自分の番が来るまでに小一時間を要した。やっと順番がきて、やれやれとおもいながら申請書類に必要事項を書き込み、再交付まできっとこれからまた果てしなく長い時間を要するのだろうなあと嘆息をついた。ところが予想に反して、書類を提出した後は数分で処理が終わり、無事に車検証の再交付を受けることができた。恐らく車検証のデータは電子化されて保存されており、クルマの登録番号を入力すれば瞬時に呼び出すことができるのであろう。それならば紙の車検証は不要ではないかとおもった。スマホの普及が進む現在、恐らくアプリでデジタル車検証のようなものを表示することは至極簡単にできるのではないか。自動車運転免許証がデジタル化される暁には、所有する車の車検証、自賠責保険や民間自動車保険の加入内容にかんしても全て紐づけられると便利だとおもう。もう一歩進んで、クルマのキーもデジタル自動車運転免許証とリンクするようにすればよい。スマホを携帯しないとエンジンがかからないシステムになれば、免許不携帯という違反はなくなるだろうし、クルマの盗難防止にも一役買うのではないだろうか。そしてこのシステムに期待するもう一つの効果が認知症高齢者の運転制限である。
 クリニックを開いてからはや17年の月日が流れ、当初から通って下さっている患者さんも当然のことながら年を取る。遠くから車で通院される方々の中には、寄る年波には勝てずに車の運転を卒業するから、もう通院できないと話される方も最近増えてきた。一方で、自分はまだまだ大丈夫だと言って聞かない患者さんのご家族がご本人に内緒で相談に来られるケースも多い。途中で道を間違えたり、一方通行を見逃したり、あちこち車をぶつけたり擦ったり、とても危なくて見ていられないから、もう運転を止めさせたいとのこと。認知症は本人に病識が乏しく、特にクルマの運転のような摺りこみの強い慣れた作業は認知症がある程度進行するまで大きく障害されないことが多いので、しばしばご本人とご家族の間に見解の相違が観られて家族内争議に発展する。しかし昨今の報道を観るにつけ、高速道路の逆走やアクセルとブレーキ踏み間違えによる暴走事故は枚挙に暇がなく、やはり周囲、特に家族が危ないとかんじたら、ある程度の強制力をもって運転免許証を剥奪出来るシステムが必要かもしれない。そう考えると前述したデジタル運転免許証は朗報だ。マイナンバーに始まり、健康保険証、通院履歴、治療中の疾患から薬歴まで全て紐づけられていれば、免許証更新の際、再交付の制限にある程度有用であろう。もちろん個人情報への配慮は大切だが、自動車運転はあくまでも危険業務なのであり、その業務に従事する際にはある程度の健康に関する個人情報提供はやむをえないのではとおもう。
 デジタル自動車運転免許証と所有するクルマのキーを連携することに加えて、運転時には必ず腕時計型のセンサーを装着するようにするのも良い試みだとおもう。今や常時脈拍の計測、不整脈の検知そして血中酸素飽和度モニターも可能である。自動車運転中に重篤な不整脈が発生したり、低酸素状態を検知した際に自動で減速、停止するシステムをクルマに搭載すれば、意識を失ったドライバーが暴走する悲惨な事故も回避できるかもしれない。