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厄介な隣人

 つい今しがた俳優の岡江久美子さんがCOVID-19にて死去したとの速報が流れた。まだ63歳であった。命の重みに差はないものの、先に亡くなられた志村けんさんなど、有名人の死はやはりインパクトが大きい。今日も東京では130人を超える感染者の報告がなされ、感染の拡大には歯止めがかかっていない。

 緊急事態宣言が全都道府県にて宣言され、不要不急の外出、三密を避けるよう政府から要請が出ている。まだ二週間ほどの経過だが、既に自粛疲れなのか、湘南海岸での混雑やドメスティックバイオレンスの増加などにかんする報道が相次いでいる。ゴールデンウィークがやがて訪れるが、果たしてどのくらいの人たちが我慢を続けられるのか不安が尽きない。

 不安を煽ることが本意ではないのだが、何となく「あと2週間の辛抱だ。ゴールデンウィークさえ乗り切ればまた赤提灯で一杯やれる、〇〇ちゃんにも会える。」とのムードが感じられることは問題だとおもう。このウイルスとの付き合いはかなり長期化する。素人なりにも、そうかんがえる根拠について述べてみたい。

 今日のニュースで東京にある慶応大学病院が今月13日から19日の一週間、COVID-19以外の入院患者67人を対象に新型コロナウイルスにかんするPCR検査を行った結果、4人が陽性と確認されたことを伝えていた。割合にすると約6%。この数字が現在の東京における感染状況を反映している可能性があるとの解釈だ。つまりまだ9割以上の都民は感染していないということである。

 ある感染症の蔓延が収まるために重要な因子として集団免疫率(Herd Immunity:H)という指標がある。ある集団において、どれくらいの割合の人がその感染症に対する免疫を持っていれば、その集団の中での感染が阻止されるかを表すもので、計算式は次のようになる。
H=(1-1/R0)×100 この式におけるR0は基本再生産数と呼ばれるもので、わかりやすく言えば一人の感染者が何人に感染させるかを表す。R0が1を切れば感染拡大は収束に向かうが、この数字が大きいほど感染は拡大する。今までの報告によると新型コロナウイルスのR0はおよそ2程度と思われ、この式に当てはめて計算するとHは(1-1/2)×100=50%となる。つまり全国民の半数が感染して新型コロナウイルスに対する免疫を持たなければ流行を抑えられないという結論になる。

 日本においてクルーズ船関係者以外の感染例が散見され始めてからまだ二か月と少しくらいである。先の慶応大学病院のデータから現時点での感染率が6%の状況と判断すれば、感染拡大はまだまだ序の口で、集団免疫が得られるまでには気の遠くなるような時間がかかることが容易に想像できる。もちろん今急ピッチで進められているワクチン開発には期待が持てるが、今すぐにという訳にはいかないであろうし、ワクチンが潤沢に供給されて全国津々浦々の人々が接種を受けるに至るまでには、これまたかなりの時間を要することだろう。加えてウイルス自体も集団免疫という圧力に抗するため、変異を繰り返す。その結果寄せては返す波のように、今後長期にわたって流行が繰り返される可能性が高い。

 残念だが状況は厳しい。少なくてもゴールデンウィークを我慢すれば何とかなるというような甘いものではないとおもう。もはや時代が変わったと理解するしかない。この新型コロナウイルスが環境に居るということをデフォルトとして生活していくほかないのではないか。厄介な隣人だが、何とか折り合いをつけて暮らしていくしかあるまい。