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気管支喘息と吸入ステロイド その2

 前回気管支喘息のお薬には大きく2種類あると説明しました。今回はもう少し専門的な視点からお薬を分類して解説します。
 気管支喘息の治療は、今まさに起こっている発作を止めること及び発作を予防することの二つから成り立っています。既に起こってしまった喘息発作を落ち着かせるお薬のことをリリーバー(reliever:英語で救済者という意味です)、発作を予防するお薬のことをコントローラー(controller:制御、管理装置)と呼びます。
 リリーバーの代表が前回ご紹介したβ2刺激薬であり、コントローラーの代表は吸入ステロイドです。ところがβ2刺激薬にも実は2種類あり、短時間作用型β2刺激薬(SABA:short-acting β2 agonists)と長時間作用型β2刺激薬(LABA:long-acting β2 agonists)に分類されます。SABAは発作時に吸入するエアロゾルやドライパウダー製剤がよく知られ、LABAはテープ剤やドライパウダー製剤として用いられます。そしてこのLABAはどちらかと言えばコントローラーに分類されるお薬なのです。混乱させて申し訳ありません。
 喘息の治療で最も大切なことは、発作をいかにして回避するか、つまりコントローラーをどのように上手に使用するかということなのです。コントローラーの横綱が吸入ステロイドであり、最近登場した吸入ステロイドとLABAの合剤は双葉山のような名横綱と言ってよいでしょう。
 最後にSABAに関する注意点を挙げておきます。SABAには喘息の本態である気道の炎症を抑制する作用は無く、SABAにばかり依存していると喘息が悪化し、場合によっては不幸な転帰になることもあり得ることに注意が必要です。SABAの使用が1日に4回を超えるような場合には吸入ステロイドによる治療が必要不可欠です。残念ながら未だにSABAのみを使用し、処方を求める患者さんが少なからずいらっしゃいます。元よりSABAは必要かつ有効なお薬ではありますが、喘息の根本治療にはならないことを是非覚えておいてください。