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モバイルペイメント

 今年の冬は雪こそ少なかったですが、寒い日が多かったですね。それでも夜明けが早くなり、今朝は散歩中に梅の花が綻んでいるところに出会いました。春はもうすぐそこまで来ています。
 猛威を振るったA型インフルエンザ、ようやく流行は下火になりましたが、これからの時期はB型と、感染性胃腸炎が流行します。従来同様にマスク着用、うがい、手洗いの徹底をお願いします。不要不急の外出はなるべく控えることがお勧めですね。

 今回は前々回に引き続きお金のことをかんがえてみました。

 スマートフォン(スマホ)を新調してから、幾つかのモバイルペイメントが利用出来るようになった。モバイルペイメントとは、簡単に言えばスマホや携帯電話に付帯した決済機能、言わばお財布機能である。たとえばモバイルSuicaを利用すれば、電車やバスは小銭なしで乗れるし、新幹線もスマホをかざすだけでよく、完全にチケットレスだ。駅ビル内、駅周辺のお店は当然、それ以外でも結構な数の飲食店でモバイルSuicaでの会計が可能だ。クレジットカードをQUICPayに登録しておけば、セルフのガソリンスタンドでスマホをかざすだけで給油が出来、割引サービス、更にポイントまで貯まる。また楽天ペイ、PayPayなどをインストールしておくと、ほとんどのコンビニ、タクシーでもキャッシュレス、スマホさえあれば決済が済む。今ぼくが手首に装着している生活活動量計にはGPS機能はもちろんのこと、脈拍センサーの他に電子マネーのEdyが搭載されており、散歩やジョギング中に飲み物を購入する際など、とても便利だ。
 これらの電子マネー、その便利さの割には日本での普及が遅れており、まだ20%以下。一方でお隣の韓国や中国では目覚ましい勢いで普及し、80~90%というから驚きだ。近年激増している中国からの観光客から、日本でも中国企業Alibabaが供給する決済アプリ、Alipayを利用できるようにとの要望がたくさん寄せられている。これに答えるかたちで、みずほ銀行が開発したJコインペイがAlipayと提携、3月から運用開始になるとのニュースもあった。
 なんだか混乱してしまうお話なので、もう少し簡単に整理してみよう。QUICPayは既存のクレジットカードと基本的には変わりがない。それでもスマホにインストールしておけば、サインも暗証番号も必要とせずに決済ができるから便利だ。クレジットカードと同じだから、基本的には「後払い」。一方のモバイルSuicaは登録したクレジットカードから、あらかじめ決まった額をチャージして使用する、つまりは「前払い」。PayPay、Jコインペイも登録している銀行口座からチャージするから「前払い」。
 当然湧きおこる不安として、スマホを紛失してしまった時など、無制限に利用されるのではとの危惧がある。ぼくもこの点について少なからず心配したのだが、今のスマホは指紋認証を経て、フェイスID、つまり顔認証だ。第三者が拾得して不正利用を試みても、スマホ自体の駆動がまず出来ない。高額紙幣やクレジットカードが入った財布を落とすリスクと比べると、格段に安心と言えるだろう。もう一つの問題として、基本的にはクレジットカードを持たないとチャージが出来ないシステムが現時点では多く、クレジットカードの手数料がかかることが挙げられるが、この点も今後恐らくJコインペイのような銀行が開発する電子マネーシステムが主流となり、いずれは「前払い」でも「後払い」でもない、即時口座決済が当たり前になるとおもう。つまり銀行のキャッシュカードでそのままお店の決済ができるといった趣だ。
 お金というものは巨大な共同幻想である。例えば一万円札そのものは本来、たかが紙切れで、鼻をかむにもおしりを拭くにも使えない、物質的な価値としてはとても低いものだ。それでも社会で1万円として通用するのは、皆が幻想を抱いているからに他ならない。幻想なのだから、紙幣でなくてもスマホなどのガジェットに表示される数字だけでも一向にかまわない訳だ。日本は世界の中でも例外的に治安が良く、追い剥ぎやスリが横行する社会ではないので、未だに現金志向が強いのだろうが、これから先もずっと安心とは限らない。高齢化が進み、オレオレ詐欺、タンス預金を標的にした強盗が増えている実態を考えると、キャッシュレス化の推進は有効な防犯対策の一つともおもえる。電子マネーによる決済が主流となれば、銀行が各地に設置しているキャッシュディスペンサーは不要になり、設置維持費が激減する。そもそも銀行の窓口業務自体が不要になる可能性だってあるかもしれない。更にお札や硬貨を製造するコストもカット出来る。現在これら現金取り扱いコストは試算で年間1兆円とも言われており、キャッシュレス化によって8~9割削減できるというから驚きである。ぼくのクリニックでも、窓口会計の際に必要なおつり銭を毎回相棒が銀行に出かけて両替して準備してくれている。電子マネー決済が主流となれば、これらの業務も不要となるわけだ。
 おそらく次の十年間いや五年くらいで、スマホには電子マネー機能に加えて運転免許証、健康保険証、パスポートそしてマイナンバーの情報も反映されることになるとおもう。スマホさえ携帯していれば、買い物、病院受診、海外旅行、融資の申し込みなど一切合切が出来る時代がもうすぐそこまで来ているのだ。もちろん個人情報の漏洩や、大規模なハッキングによる混乱などの可能性が残っているが、急激に進歩する人工知能がきっと解決するものとおもう。
 一方で電子マネーでは対応が難しいものに、「お年玉」「お賽銭」「お香典」などがある。神社の境内でスマホを弄るのも場違いな感じがするし、こどもや孫のスマホにお年玉を送金するのも何だか味気ない。だからぼくは、おそらく「現金」はいつまでも無くならず、電子マネーと共存していくものと考えている。そのことは電子書籍が未だに紙の本を駆逐していないことにもどこか似ているとおもう。