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喘息と吸入ステロイド

 急に寒くなってきました。のどの痛み、咳と鼻水を症状とする風邪が流行しています。うがい、手洗い、マスク着用の三点セットを忘れずに励行してください。
 さてこの季節は気管支喘息の患者さんにとっては辛いものです。空気が乾燥していることに加え、種々の風邪が流行するので、どうしても喘息発作が起こりやすくなります。そんな時だからこそ、きちんと治療を継続するべきなのですが、なかなかうまくいかず、発作を起こして受診される患者さんが多くなる今日この頃です。
 気管支喘息の治療に用いるお薬は大きく分けて二種類あります。一つは狭くなってしまった気管支を拡げる気管支拡張薬と呼ばれるもので、内服薬、テープ剤、吸入薬など種々あります。専門的にはβ2刺激薬、テオフィリン薬、抗コリン薬と呼ばれるもので、商品名としてはアロテック、ベネトリン、サルタノール、ホクナリン、メプチン、スピロペント、セレベント(以上β刺激薬)、テオドール、テオロング、ユニフィル、ネオフィリン(以上テオフィリン薬)、アトロベント、テルシガン(以上抗コリン薬)などがあります。これらは主に起こってしまった喘息発作を治めたり、予防するためのお薬です。
 喘息に対するもう一つのお薬は吸入ステロイドです。近年、気管支喘息の基本的な原因が気管支の慢性的な炎症であることが明らかになってきたために、この炎症を元から抑制することが大切であることがわかってきました。そのために用いられるものが吸入ステロイドです。ステロイドが喘息の症状によく効くことは以前から知られていましたが、その副作用から使用をなるべく控える時代が長く続きました。しかしながら気管支の炎症を効率よく抑制する上でステロイドの右に出るお薬は無く、更に内服に比べると圧倒的に副作用の少ない吸入ステロイドが開発されたため、現在では喘息の根本的治療として吸入ステロイドは不動の位置を確保しました。商品名としてキュバール、フルタイド、パルミコートなどがあります。最近ではこれら吸入ステロイドにβ刺激薬が混合された薬であるアドエアー、シムビコートもよく利用されます。
 先日ある患者さんが喘息発作を起こして受診されました。以前から何度か発作があり、吸入ステロイドを処方していたのですが、その患者さん曰く、友人から「ステロイドなんて使っていたら副作用で大変なことになるぞ」と言われ、止めていたとのことでした。ステロイドは確かに副作用があるお薬ですが、それでも様々な病気に対してとても有効なお薬です。まして喘息に対して使用する吸入ステロイドは、ほとんど副作用を気にせずに使用できるものですので、どうか不完全な情報に惑わされることなく、きちんと使用していただきたいと思います。
 喘息の治療薬に関してはまだもう少しお伝えしたいことがありますので、また次回に。