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はやぶさ2

 7月とは思えないような暑い日々が続いた後は、一転して涼しくなり、今日は20度チョットしかありません。西日本では大雨が降り、京都では桂川の水かさが増して渡月橋が通行止めになりました。土砂崩れで東海道新幹線の運休も報じられています。なんだか年々気候が荒々しくなってくるようにおもえて不気味です。

 文科省と東京医科大学の贈収賄事件、呆れてしまいました。今や昔と違い、私立大学医学部は何処も超難関で、入試の倍率は10数倍が当たり前になっています。受験生は寸暇を惜しんで受験勉強に取り組み、夢の実現を目指して頑張っています。その多くは夢破れ、涙を飲んでいるのです。それなのに、よりによって教育行政を担う文科省のお偉方が息子の裏口入学を画策するなど言語道断。でも、一番気の毒なのは息子さんでしょうね。

 今、ニュース速報でオウム真理教の元代表、麻原彰晃(本名松本智津夫)死刑囚の死刑執行を知りました。これを機にオウム事件に関係する死刑囚の刑執行が相次ぐのかもしれません。地下鉄サリン事件、漸く一区切りです。

 今回は「はやぶさ2」と題してエッセイを書きました。


 日本が開発し打ち上げに成功した小惑星探査機「はやぶさ2」が6月27日午前、目標としていた小惑星「リュウグウ」に無事到着した。ふるさと地球を離れること32億キロの彼方にある、直径900メートル程度の小惑星に1300日以上もかけてぴたりと横付けさせる技術は極めて高度なもので、小惑星探査の領域では日本がトップランナーなのだという。
 これから「はやぶさ2」は幾度か「リュウグウ」に着陸を試み、その表面から岩石を採取、あるいは弾丸を打ち込んで人工のクレーターを作成し、その内部からサンプルを回収するという。これらを分析することで地球などの惑星誕生にまつわるたくさんの秘密を少しずつ解き明かしていくというから、夢のあるプロジェクトだ。もしサンプルの中に有機物の存在が確認できれば、原始生命誕生のメカニズム解明にも寄与するかもしれない。
 「はやぶさ2」の技術は別な観点からも大切なものだ。現在地球近くに、なんと16000個もの小惑星が確認されているという。今後も観測技術の進歩で、もっと小さなものがたくさん見つかる可能性が高いのだが、これらが地球に衝突すると甚大な被害が起こることは容易に想像できる。かつて栄華を誇った恐竜たちの絶滅も巨大隕石の衝突によるとする説は有名だ。実はこれら既知の小惑星、そのほとんどは既に軌道が計算されており、今後ひとまず100年間ほどは地球との衝突の心配がないそうだが、100年などあっという間だ。地球に向けて小惑星が接近してくることが判った際にどうすれば良いのか今から対策を講じておく必要がある。
 むかし中学生のころ、「メテオ」というSF映画を観た。ストーリーのあらかたは忘れてしまったが、地球に迫る巨大隕石を米国が核ミサイルで迎撃して地球を救う、確かそんな内容であった。核ミサイルを使うかどうかは別として、現在「プラネタリー・ディフェンス・コンフェレンス」という国際会議があって、科学者たちが小惑星衝突回避策として真面目に検討している手段の一つは、「インパクター」と呼ばれる構造物を小惑星に衝突させてその軌道をずらす、あるいは小惑星自体を破壊しようと目論むものである。ただしこの方法の難点は、小さな小惑星にしか適応できないこと。直径数キロもある巨大なものに核ミサイルを撃ち込んでも、残念ながら破壊は出来そうにない。また、地球近くで運よく破壊できたとしても、放射能を帯びた多数の破片が隕石として地球に落下することを考えると、あまり望ましい方法ではなさそうだ。
 さてそれでは代案はと調べてみて、感心した。一つはプッシュアンドプルとでも言えばよいのか、小惑星の持つ引力を利用するものだ。目標とする小惑星の傍に巨大な宇宙船を横付けする。当然小惑星の重力がその宇宙船を引き付けるのだが、この時宇宙船を移動させることで、小惑星を僅かに引っ張ることが出来る。ほんの僅かだけでも軌道をずらすことが出来れば、何億キロも離れているから、地球に接近するころにはその「ずれ」が大幅に拡大しているというわけだ。この点から考えると、32億キロも離れた直径900メートルの「リュウグウ」へ正確に到達した「はやぶさ2」の技術は大きな福音と言えるだろう。
 更にもう一つ面白い方法がある。小惑星も地球同様に自転しており、太陽に照らされた面は当然のことながら温度が上昇し、その面が日陰に入ると貯えられた熱が放射される。この放射熱がごくわずかな推進力となって小惑星の軌道に影響を与えているとのこと。従って、太陽熱をよりたくさん吸収できるような特殊な塗料を小惑星全体に散布して温めてやることで放射熱による推進力を増大させ、その軌道を変えてやろうというアイディア。いやはや素晴らしいではないか。
 常日頃から医療に限らず幅広い分野に興味を持って、色々知りたいとおもっているのだが、50代になると気力、記憶力、忍耐力、体力、魅力その他もろもろすべて弱まって、どうしても専門とする狭い範囲に逼塞してしまう。知的退廃だ。そんな中、「はやぶさ2」がこれから担う役割やこの先に繋がる種々のプロジェクトはたいへんスケールの大きなお話ばかりで、痛く感動した次第。見えるはずもない「はやぶさ2」を探して夜空を眺めてみたら、なんだか悩んでいるあれもこれも、日本サッカーの敗戦も、モリカケ問題、文科省局長の収賄(医大裏口入学)も実はそれほどたいしたことではなくて、いやむしろ実にくだらないことばかりであって、あすからはもっと大らかに過ごそうとおもうのだった。