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赤ちゃんロボット「スマイビ」

 昨日一日中降り続いた雨も今朝には上がりましたが、まだ路面は濡れていました。イヌたちの散歩中、飛び出してきたネコに反応した彼らが急に引っ張り、数歩駆け出したところでぬれ落ち葉に足を取られ、見事にしりもちをつきました。一瞬息が止まるほど痛かったのですが、下肢のしびれなどは無く、おそらく尾てい骨当たりの打撲で済みそうです。先日は右手を思いっきり深く噛まれ、ようやくその傷が癒えてきた矢先でしたので、うーん、なんとなく運気低迷のような予感。

 さて、昨日は雨でしたので何処にも出かけずに家でじっと思索にふけっておりました。最近認知症が進行し、ついさっきのことは全く覚えていられなくなった90歳の父と88歳の母をデイサービスに送り出してから、これから本格化する介護のことなどを考えました。

 これからの時代は、介護ロボットなどが必ず登場してきて介護者の助けになってくれると思っていたら、ご存知「ペッパー」のみならず、「スマイビ」というロボットが活躍しそうなのです。今回はこの「スマイビ」をテーマにエッセイを書きました。


 6月16日発行のMedical Tribune誌に面白い記事を見つけた。認知症患者に対する非薬物治療として国立長寿医療研究センターが試みている、とあるロボットによる介入である。このロボット、その名を「スマイビ」といい、スマイルベイビーの省略形。愛知県東郷町にある株式会社東郷製作所が開発したロボットで、あやせば笑い、たくさんの喃語を話し、放っておけば泣き出すそうだ。つまりは「お世話すること」が必要で、このお世話を認知症の患者さんたちにお願いしたところ、急に怒り出したりする易興奮性に関する項目で改善が認められたというのだ。
 
 同じような効果はいわゆるアニマルセラピーと言われる動物介入療法でもすでに認められており、犬と接した患者さんたちの血圧が低下したり、笑顔が増えたりという報告は多い。脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が増えたとする報告や、愛情ホルモンとして認知されつつあるオキシトシンの分泌が増え、一方でストレスホルモンの代表であるコルチゾールが抑制されたなどの論文発表も増えてきた。

 これからさらに高齢化が進行し、認知症患者さんが急増する日本。赤ちゃんやペットの世話が認知症の興奮症状軽減に有効なのであれば、幼稚園と老人介護施設の併設や、あるいは捨てられたペットたちに第二の家として老人介護施設を選ぶことなど、いくつもの案が思い浮かぶ。まあ現実的に高齢者と子供たちを同居させることには、インフルエンザ等感染症の危険性や、あるいは認知症患者による暴力事件などがすぐに思い浮かび、保護者からのクレームなどの困難が容易に想像されるから、なかなか実現は難しいだろう。だから、これらロボットの需要は今後増えるとおもう。

 それにつけても、易怒性など認知症の周辺症状緩和に有効なのが幼子とペットの世話ならば、その解決は昔の農村生活にあるのではないか。広い家屋には平気で3代から4代の家族が同居していた。縁側には猫が丸くなり、庭先には犬が居たはずだ。認知症で複雑な作業はできなくなっても、孫やひ孫の世話や飼い犬の餌やりくらいは平気でこなしたおばあちゃん、おじいちゃんたちがたくさん居たはずだ。そう考えると、結局は日本伝統の大家族の解体、核家族化がいちばんの問題だったのではとため息をつくのだ。それでも今更時計の針は戻せない。将来の認知症介護の一翼を担う逞しい存在として、今後の人工知能発達によるさらなる進化も期待しつつ、「スマイビ」を応援したいとおもう。でもホンネのところは、やっぱり生身の犬や猫をオススメしたい。むかし流行した「たまごっち」や「AIBO」ではけっして得られない、魂のふれあいとでもいうべきものが彼らとの間にはあるようにおもえてならないのである。


 ぼくは「たまごっち」というので遊んだ経験が無いのだが、当時意に沿わないキャラクターに育ったらリセットすれば良いとする安易な考えに警鐘を鳴らす評論を幾度も読んだ覚えがある。一方の「AIBO」は一時期真剣に購入を考えたことがあったが、その値段のあまりの高さに断念した記憶がある。まあ今となったら「本物」のイヌが2匹も居るから、もはや「AIBO」も「スマイビ」も欲しいとはおもわない。確かにこれらロボットは病気にもならないし、第一死なない。だから気楽なものである。しかし、やはり「本物」の動物たちは我々の何倍ものスピードでその生を駆け抜け、全身全霊で我々に愛情を注いでくれる。そして言葉が無いので、嘘偽りが決して無い。この広い世界で出会えた奇跡を感じさせる存在は、今のところロボットではありえないようにおもうのだった。

 そういえば、しばらく前にすでに販売終了となった「AIBO」に徐々に「老化現象」が見られるようになってきたとの報道を観た。保存部品も耐用年数を超えると入手が困難となり、もはや完全な修理は不可能になりつつあるそうだ。なるほど、ロボットにも高齢化問題はあるのだね。