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飲んではいけない薬

 しばらく前に発売された週刊誌に、医師から処方されても飲んではいけない薬と銘打っていくつかの薬が名指しで挙げられていた。いずれも極めてポピュラーな薬であり、正直なところ困惑している。反響は大きく、ここ数日で数名の方から当該薬の服用を止めたいとのお申し出を頂いた。もとより薬は化学物質であり、その効果は当然のこととして、副作用もある一定の確率で必ず起こる。副作用よりもその効用をプラス査定するからこそ、そして開発段階における副作用の頻度が許容範囲と判断されるが故に薬は国に認可されて世の中に出る。今回名指しされた薬を止めて他のものに変えたとしても、やはり副作用は出るかもしれない。副作用が絶対に嫌だというのであれば、一切の薬を飲まない以外に術はない。実際にそういう主義思想の方々は医師にも多い。そういう方々が文章を書いて、大衆紙が採り上げることにも別に異論はない。それを信じて服薬を止めるのも個人の自由である。ただし一つだけ申し上げておきたい。これらの文章を書く先生方も医師である。万が一ご自分の身に何か異変が起こった際、あるいはご家族に病が判明した際に頑として件の薬を使用しないかどうか、ぼくは少し疑いの目を持っている。そして何よりもあなたが件の薬を自己判断で止めてしまい、その結果何かしら不都合があった際、かの先生方はあなたの相談に乗ってくれるであろうか。「主治医とよくご相談ください。」で終わりではないのか。

 件の薬を止めたいと正直に相談してくださる方はまだ良い。始末に負えないのは自己判断で「実は何か月も前から飲んでいません。」というパターン。一つの手段がダメならば、次の手段を見つけるのがプロであり、大人の態度だ。ぼくは怒ったりしないから、ぜひ一言相談していただきたいと強く願う。降圧薬の服用を自己判断で止めた結果脳梗塞を起こした、あるいは血液サラサラのお薬を止めたが故に心筋梗塞を起こしたなどというお話は枚挙に暇がないということをここに記しておきたい。

 でも最後に一言だけ愚痴をこぼすことをお許し頂きたい。権威ある科学雑誌に掲載された論文ならまだしも、こと医学に関しては専門でも何でもない一大衆誌に書かれていたことは無条件で信じられ、主治医としてあなたを何年も診てきた「まひと先生」の言うことはあっさり拒否される。穏やかなることラブラドールの如しである小生も少しばかりムッとすることも否めない。