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一生飲まないといけないの?

 春は名のみの風の寒さやですね。それでも三寒四温とはよく言ったもの、これからは暖かい日々がだんだんと増えてくるのでしょう。
 さて今回はお薬のお話です。血圧の高い患者さんにお薬を勧めると、「血圧の薬はひとたび飲み始めたら一生続けなければならないから絶対に飲みたくない」と頑強に拒否されるケースが少なくありません。確かに血圧の薬は風邪薬などとは違って、長く飲まなければなりません。場合によっては一生飲んで下さいと申し上げることもあります。それにはそれなりの理由があるのです。以下説明しましょう。
 ところで仮に一生飲み続けなければならないとして、何故みなさんは嫌がるのでしょうか?高血圧を放置しておくと脳卒中(脳出血や脳梗塞)を起こす確率が高くなります。心血管疾患(狭心症や心筋梗塞)も増えます。腎臓も傷みます。つまり薬を飲まずに高血圧を放置する人は、これらの疾患で苦しむリスク(危険性)を背負い込むことになるのです。一方確かに薬には副作用というリスクがあるのですが、最近の薬は極めて有効で安全性が高く、副作用をそれほどまでには心配する必要はありません。つまり高血圧を放置するリスクと薬の副作用というリスクを天秤にかけた場合、前者の方がずっと重いのです。
 お薬代が無視できないとのお話も良く出ますが、その一方で血圧に良いと言われる乳酸菌飲料などを毎日飲んでおられたりします。この乳酸菌飲料は一本百数十円ですが、保険が利く血圧の薬はこれよりずっと安いということをご存知でしょうか。あるいは巷に出回るサプリメント、健康食品に凝っておられる方は、お薬代よりもずっと高額なお金を毎月拠出していることにお気づきでしょうか。更に自然食品だから安全だというのも幻想に過ぎません。得体の知れないサプリメントも非常に多く、服用により中毒を起こす事件は枚挙に暇がないのです。国がその効果を保障した処方薬の方がずっと安全です。
 結論を急ぎましょう。血圧を効率よく下げる上で最もコストパフォーマンスがよい方法は、病院で処方される薬を飲むことです。我々は薬よりももっと危険かつ有害なものを平気で、無意識に摂取します。タバコ、過度のアルコール、食品に残留する農薬等。アルコールをお好きな方はそれこそ一生飲むでしょう。酒は百薬の長とまで言われますね。お酒を飲み続けることとお薬を飲み続けること、どちらも大きな違いはないのです。そう考えれば薬に対する意識も変わりませんか?健康で長生きするために、もっと気楽に薬を飲んで下さい。食事中の塩分に気をつけて、適度な運動も心がけているうちにかなりの場合、血圧が安定してきます。すぐには止められないまでも、徐々に薬の量を減らしていくことは十分可能なのです。